社会保険労務士試験を受験するとき、学習の中核となるのは、やはり法律の条文です。ただし、法律の条文だけ覚えても、合格に結びつきません。
世の中に起こることって、はっきり「白」・「黒」つけられませんよね。
法律も同様、万能ではありませんから、白でも黒でもない「グレーゾーン」が存在することとなります。そして、このグレーゾーンの扱いについて、規定しているのが「通達」だったり、「判例」だったりするわけです。
「通達」とは「行政官庁がその所掌事務について、所管の機関や職員に文書で通知すること」です。例えば、労働基準監督署長の判断がつかないことについて、厚生労働省の担当部署に「○○○について、自分は×××と考えるが、いかがなものか」のように問い合わせます。そして、その担当部署が「その見解」を示している文書、これが通達です。
「判例」については、中学校くらいの社会で学習したのでご存知ですね。
とりあえず、復習しておくと、「判例」とは、狭い意味では最高裁判所が示した判決や決定等による法解釈を指し、広い意味では裁判所が示した判決や決定等による法解釈を指します。
この中の、通達については、「基発●●号」のような形でテキストによく出ています。一方、判例の方は、過去のものについては掲載されているのですが、直近のものは掲載されていないことが多いです。
そして、この直近の判例から毎年出題されているのが、労働基準法です。
今年も、昨年も、一昨年も、労働基準法の選択式問題は、最新の判例から出題されました。
資格の学校に行かれている方は、このような情報は入ってくると思いますが、独学で合格を目指している方は、このような情報を入手しにくいかもしれません。だからといって、放っておいていいわけありませんよね。しっかり最新の判例について、アンテナを張っておかなければなりません。
最近は「判例」関係のテキストや社労士受験の雑誌の特集もありますから、絶対に目を通しておくべきです。
例えば、今年の5月、定年退職したトラック運転手の賃金を下げた会社に対して、東京高裁が、労働契約法第20条違反という判決が出しました。最近、よく耳にする「同一労働同一賃金」というやつですね。
これなんか業界では驚きの声が上がった判決です。
興味のある人はインターネットで調べてみてください。