年度が変わり、厚生労働省関連、言い換えれば、社会保険労務士の試験範囲の法律に関する法改正がありました。主なものをピックアップしておきます。
年金関係
①平成29年度の国民年金保険料:16,490円(平成28年度16,260円→平成29年度16,490円)
※法律に規定されている平成29年度の保険料額16,900円(平成16年度価格)に、平成16年度以降の物価や賃金の変動を反映した率(0.976)を乗じることにより、16,490円となりました。
②平成29年4月からの年金額は、月64,941円(老齢基礎年金(満額))
※平成28年平均の全国消費者物価指数は、▲0.1%となり、また、平成29年度の年金額改定に用いる名目手取り賃金変動率は▲1.1 %となった。 この結果、平成29年度の年金額は、法律の規定に基づき、平成28年度から0.1 %の引下げとなりました。
③中小企業等に対する被用者保険の適用拡大
1週間の所定労働時間及び1月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満であっても、
(1)週の所定労働時間が20時間以上
(2)勤務期間が1年以上見込まれること
(3)月額賃金が8.8万円以上
(4)学生以外
(5)従業員501人以上の企業に勤務していること
上記5つの条件を全て満たす場合は、平成28年10月から社会保険が適用となっていますが、平成29年4月からは、500人以下の企業も、労使の合意に基づき、企業単位で短時間労働者への適用拡大が可能となります。(国・地方公共団体は、規模に関わらず適用。)
労災関係
平成29年4月から、介護を要する程度の区分に応じ、以下の額となりました。
①常時介護を要する方
・最高限度額:月額105,130円(180円の引き上げ)
・最低保障額:月額57,110円(80円の引き上げ)
②随時介護を要する方
・最高限度額:月額52,570円(90円の引き上げ)
・最低保障額:月額28,560円(40円の引き上げ)
雇用保険関係
(1)雇用保険料率(失業等給付)を現行0.8%から0.6%に引き下げられました。
(2)雇用情勢が悪い地域に居住する者の給付日数を60日延長する暫定措置が5年間実施されます。また、災害により離職した者の給付日数が原則60日(最大120日)延長できることとされました。
(3)雇止めされた有期雇用労働者の所定給付日数を倒産・解雇等並みにする暫定措置が5年間実施されることとなりました。
(4)倒産・解雇等により離職した30~45歳未満の者の所定給付日数を引き上げられました。
改正職業安定法の一部施行
1 (1)ハローワークや職業紹介事業者等の全ての求人を対象に、一定の労働関係法令違反を繰り返す求人者等の求人を受理しないことを可能とすることとなりました。
(2)職業紹介事業者に紹介実績等の情報提供が義務付けられました。
(3)ハローワークでも、職業紹介事業者に関する情報を提供することとなりました。
2 求人者について、虚偽の求人申込みが罰則の対象となります。また、勧告(従わない場合は公表)など指導監督の規定を整備することとされました。
3 募集情報等提供事業(求人情報サイト、求人情報誌等)について、募集情報の適正化等のために講ずべき措置を指針(大臣告示)で定めることとするとともに、指導監督の規定が整備されます。
4 求人者・募集者について、採用時の条件があらかじめ示した条件と異なる場合等に、その内容を求職者に明示することが義務付けられます。
改正前の法律を覚えてしまう前に、ご自分のテキストを修正しておいてください。