ちょっと前ですが、なんやかんや言ったところで、社労士試験で重要なのは暗記だと書きました。社労士試験の科目の学習については、多くの場合、暗記するしかないと思います。しかし、理解すると、暗記しやすくなることがあるのも事実です。
例えば、前回書いた健康保険法第167条
事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者が使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。
これは、社員が支払うべき当月の健康保険料を翌月の給与から控除してもいいですよ、っていう趣旨のものです。例を使って図式化すると次のようになります。
(例1)
3月保険料 4月保険料 5月保険料 6月保険料
↘控除 ↘控除 ↘控除
3月給与 4月給与 5月給与 6月給与
ところが、カッコ書きを見てください。
「被保険者が使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料」も控除できるとあります。これについて、じっと考えると、こういう結論が導き出せます。
ご存知の通り、健康保険料は資格喪失の日の属する月の前月分まで発生します。
例を使って考えてみましょう。例えば、6月29日に退職した人は、6月30日が資格喪失日になりますから、保険料が発生するのは5月分までです。したがって、(例1)に則って、保険料を控除すればいいわけです。
一方、6月30日に退職した人は、資格喪失日は7月1日となり、その前月である6月分の保険料も発生することになります。そうすると、6月分の保険料を控除する給料があれば問題ありませんが、末締め末払いだったどうでしょう。この方については、7月に給料が発生しませんから、保険料を控除できる給与がありません。そこで、(例2)のように、「被保険者が使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料」も控除できるわけです。
(例2)
3月保険料 4月保険料 5月保険料 6月保険料(6月末日退職⇒7月1日喪失)
↘控除 ↘控除 ↘控除↓
3月給与 4月給与 5月給与 6月給与
このように理解していれば、覚えるのも早いはずです。
字面だけを暗記するのではなく、このように理解できるところは理解しながら、学習を進めていきましょう。