前回、前々回において、2019年4月1日に労働基準法の改正があり、年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対して、年5日以上の年次有給休暇を取得させなければならなくなることをお話ししました。
さて、今回は、この法改正が行われるとき、社会保険労務士はクライアントに対してどのようなことをしなければならないのかについて考えてみましょう。
①アナウンスをする
法改正が行われるときはいつもそうですが、クライアントに対して、「〇年〇月〇日に法改正があって、その内容はこのようなものです」というアナウンスをしなければなりません。法改正があった後で、クライアントに「聞いていない」「知らなかった」と言われないようしっかりお伝えしておく必要があります。
②会社の立場を一緒に考える
今回の法改正の場合、考えなければならないことがかなりあります。
例えば、社員によって入社日が異なりますから、年次有給休暇の付与日も社員ごとに異なりますよね。Aさんは4月27日、Bさんは7月25日、Cさんは12月10日……、といった具合です。これでは年次有給休暇の付与も、取得させなければならない義務期間も、人によってまちまち。とても煩雑になってしまいます。ということは管理がしにくいですよね。
だったら、例えば、年次有給休暇の付与日を月初にするとか、年に2回にするとか、とにかくまとめれば管理がしやすくなります。これを法に準拠しながら行うにはどうすればいいかを提案したりします。
また、年次有給休暇を効率的かつ確実に管理するにはどのようにしたらよいか。
例えば「年次有給休暇取得計画表」のフォーマットを一緒に考えたりすることもあるでしょうし、社員に確実に年次有給休暇を取得してもらうために「会社が時季指定して年次有給休暇を与えるか」、「社員に希望日を指定してもらいその日に休ませるか」、年次有給休暇の確実な取得に向けた制度を構築する必要もあるでしょう。
このようなお手伝いをすることもあります。
③就業規則に規定する
年次有給休暇の取得に向けた会社の方針が決まったら、これを就業規則に反映しなければなりません。もちろん、就業規則にどのように規定するか、会社と一緒になって考えるのも社会保険労務士の仕事です。
というわけで、法改正が行われるために、社会保険労務士は忙しくなるというわけです。