自民党が少数与党となり、国民民主党が脚光を浴びるようになって、

やたらと耳にするようになったのが「年収103万円の壁」という言葉です。

ボクを含めた社労士の多くは、「年収103万円の壁」じゃなくて「年収130万円の壁」だろう。まあ、その前に「報酬8万8千円(年収105万6千円の壁)もあるけどね。

そう思っていた方が多いと思います。

案の定、すぐに「年収130万円」の壁という言葉が知れ渡りました。

 

ご存じの通り、「年収103万円の壁」というのは、「年収103万円を超えたら所得税を支払わなければなりませんよ」という壁ですね。つまり、年収100万円の人と、年収104万円の人がいたとしたら、年収104万円の人は所得税を支払わなければならない分、手取りが減ってしまい、実質年収100万年の人のほうが多くなるというものです。

つまり、年収103万円を微妙に超えるのは損だということになります。

 

で、それはその通りなのですが、健康保険法・厚生年金保険法には次のような法律があります。

 

事業所に使用される者であって、その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者に該当し、かつ、次の①~③のいずれかに該当する者は適用除外とする。

①1週間の所定労働時間が20時間未満であること

②報酬について、資格取得決定の例により算定した額が、8万8千円未満であること

③学校教育法に規定する高等学校の生徒、大学の学生等であること

 

ちなみに上記適用除外の規定が適用されるのは、事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される特定労働者の総数が常時50人以下の適用事業所です。また「特定労働者」とは、70歳未満の者のうち、厚生年金保険法の適用除外のいずれにも該当しないものであって、特定4分の3未満短時間労働者以外のものを言います。

 

着目すべきは上記②です。

 

常時51人以上の事業所は、パート労働者であっても所定労働日数が4分の3以上で、毎月8万8千円以上の報酬がある場合は健康保険や厚生年金保険の被保険者にならなければならないということです。

そうすれば、当然健康保険料や厚生年金保険料が給与から控除されますから手取りが減ることになります。

これが「年収103万円の壁」の1つ上の壁、「年収106万円の壁」といわれるものです。