12article

 

 

 

 

今回は「時間外労働の上限規制の導入」以外の部分について説明します。

 

①一定日数の年次有給休暇の確実な取得

平成31年4月1日より、使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対しては、5日について、毎年、時季を指定して年次有給休暇を与えなければならなくなります。

 

②労働時間の状況の把握の実効性の確保

労働安全衛生法が改正され、労働時間の状況を省令で定める方法(使用者の現認や客観的な方法による把握を原則とする)により把握しなければならないこととされます。これは1カ月当たりの法定時間外労働が100時間を超えた労働者に対して行う医師による面接指導を適切に実施するために必要な措置といえます。

 

③多様で柔軟な働き方の実現

15~64歳の年齢層のことを「生産年齢人口」と呼び、年々減少傾向にあります。そしてこの生産年齢人口は50年後には3千万人以上減少し、現在の約半分になってしまうというデータがあります。つまり、現状のままでは必要な労働者を確保できなくなり、日本経済が立ち行かなくなるということです。そこで、多様で柔軟な働き方を可能にすることで、現在埋もれている労働力を掘り起こそうという趣旨のもと行われるものです。

 

④フレックスタイム制の見直し

フレックスタイム制の清算期間の上限が3カ月に延長されることにより、最長3カ月の範囲の中で労働時間を配分することが可能となり、柔軟な働き方ができるようになります。例えば、業務が多忙な月について、1月の労働時間が法定労働時間を超えてしまっても、翌月の労働時間を減らせば法定労働時間内に収まります。つまり、清算期間を長くすることで時期によって異なる繁閑の差を調整しようというわけです。

ただし、労働者の過重労働を防止するため、清算期間内の1カ月ごとに1週間の平均が50時間を超えた労働時間については、当該月の割増賃金の支払い対象となりますので注意が必要です。このフレックスタイム制の清算期間の上限の変更についても、平成31年4月1日に施行される予定です。

 

⑤高度プロフェッショナル制度

職務の範囲が明確で、少なくとも年収1,075万円以上である労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、労働時間ではなく仕事の成果で報酬を決定する制度です。この制度を採用するためには、年間104日以上の休日を確実に取得させること等の健康確保措置を講ずること、本人の同意や労使委員会の決議等の要件を必要とします。これにより、対象となる労働者については、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外となります。健康確保措置には、次のものがあります。

尚、特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)については、平成31年4月1日施行予定です。

 

  • 健康確保措置

1.年間104日以上の休日確保(義務)

2.インターバル措置

3.1月又は3月の在社時間等の上限措置

4.2週間連続の休日確保措置

5.臨時の健康診断

※2~5については選択的措置

 

 

 

 

にほんブログ村 資格ブログ 社労
士試験へ
にほんブロ
グ村