来年度の社労士試験で必ず学習しなければならない働き方改革について、先んじて覚えてしまいましょう。ということで、早速はじめたいと思います。
厚生労働省のホームページには次のようにあります。
我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しており、こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。
これをもとに「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が交付され、その概要が発表されました。この概要には、次の3つの柱が記載されています。
1.働き方改革の総合的かつ継続的な推進
(1)目的と目的規定等の改正
(2)国の講ずべき施策
(3)事業主の責務
(4)基本方針の策定
2.長時間労働の是正、多岐で柔軟な働き方の実現等
(1)労働時間に関する制度の見直し
・時間外労働の上限規制の導入
・中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し
・一定日数の年次有給休暇の確実な取得
・労働時間の状況の把握の実効性確保
・フレックスタイム制の見直し
・特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
(2)勤務間インターバル制度の普及促進等
(3)産業医・産業保健機能の強化
- 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
(1)不合理な待遇差を解消するための規定の整備
(2)労働者に対する待遇に関する説明の義務化
(3)行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
今回は、上記の中の時間外労働の上限規制の導入について学習しておきましょう。
長時間労働は労働者の心身をむしばみ、精神疾患や過労死の原因となります。実際に、長時間労働の末、精神疾患を患い自殺したとか、1月100時間を超える法定時間外労働の末、過労死したなどというニュースが後を絶ちません。そこで導入されることとなったのが、1月45時間、1年360時間、臨時的な特別な事情がある場合であっても、1年720時間、単月100時間未満(休日労働を含む)、複数月平均80時間(休日労働を含む)を法定時間外労働の上限にするという「時間外労働の上限規制」です。「時間外労働の上限規制」は平成31年4月1日(中小企業における時間外労働の上限規制に係る改正規定の適用は平成32年4月1日)施行となります。
複数月平均80時間というのは、例えば、1月に90時間、2月に70時間の法定時間外労働があったとすると、2カ月の平均は80時間となり、上限に納まります。ただし、3月は80時間以内に抑えなければ、3カ月の法定時間外労働の時間は80時間を超えてしまうことになります。