社労士試験の学習をしていると似ているワードがよくあります。

例えば、「速やかに」と「遅滞なく」

 

「面接指導の対象労働者の要件」は、次のようになっています。

①休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた労働時間が、1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であること(ただし、1箇月以内に面接指導を受けた労働者で、面接指導を受ける必要がないと医師が認めた者を除く)

②面接指導は、①の労働者の申出により行うものとし、労働者から申出があったときは、事業者は、遅滞なく、面接指導を行わなければならない。

③①の超えた時間の算定は、毎月1回以上、一定の期日を定めて行わなければならない。

④事業者は、①の超えた時間の算定を行ったときは、速やかに、当該超えた時間が1月当たり80時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報を産業医に提供しなければならない。

 

また「労働者私傷病報告」の規定は、次のようになっています。

事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその付属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 

社労士試験は、細かい点まで問われますから、「速やかに」なのか、「遅滞なく」なのか、細かく覚えておかなければなりません。

 

違いは、「速やかに」のほうが、「遅滞なく」よりも急を要すること。簡単に言うと、急ぎの度合いが違います。

 

同じようなものに「みなす」と「推定する」があります。

 

「推定する」を使っているのは、下記のような死亡の推定に関する条文のみです。

 

船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった際、現にその船舶に乗っていた者若しくは船舶に乗っていてその船舶の航行中に行方不明となったものの生死が.3箇月間分からない場合又はこれらの者の死亡が3箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期が分からない場合には、死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が、沈没し、転覆し、滅失し、行方不明になった日又はその者が行方不明となった日に、その者は、死亡したものと推定する。

 

違いは、「みなす」は「法律的な効果を認定し、確定すること。仮に事実と異なっていたとしても、その確定された内容は絶対的なものとなる」のに対し、「推定する」は「法律的な効果を認定するものの、事実が異なっていた場合は、法的効果を覆すことができる」という点です。

 

簡単に言うと、行方不明になっている人を死亡したと「みなして」しまうと、その方が仮に生きていた場合、元には戻せないということになります。そこで、死んだものと「推定して、生きていた場合に覆すことのできる余地を残すわけです。

 

ちょっとしたニュアンスの違いですが、大切に覚えていきましょう。